
安定感のある医師 転職
先の日本人構内請負工に比べ、日系ブラジル人の構内請負工の場合、聞き取り調査当時75名であったにもかかわらず、3年4カ月のあいだに総勢で約230名がABS職場の仕事に携わってきたことになるという。
したがって、日本人請負工と日系ブラジル人の請負工とのあいだには、業務経験年数という意味でも大きな差があることになる。
その結果、実際にも、日本人とブラジル人では、技能に大きな差があるということであった。
上記のようなことから容易に推測できるように、工程ごとに担当が日本人と日系ブラジル人とで分けられている大きな理由は、との工程中に、より熟練を要する作業が含まれるためである。
また、〜の工程中では、射出成形工程がもっとも重要な工程であり、中間検査ラインとの最終検査ラインも、ある程度までの熟練を必要とするとのことであった。
その他の工程の場合、習熟には1週間ほどしかかからないという。
ただし、射出成形機で成形する際の射出圧力等々の成形条件については、前もって生産技術部の担当者によってセットされており、実際の作業担当者は、このプレセットされた条件を特定の種類の製品毎に呼び出してくるだけになっていた。
そして、成形時に製品不具合が出た場合には、生産技術の担当者のみが問題解決を行なう。
また、で手直し作業が発生する場合、手直しが可能かどうかを判断するのは、ラインリーダーのみであった。
加えて、通常の直行率が98%以上ということであった。
したがって、〜工程は、一般的にみてあまり熟練を要さないとみなせる。
ただし、すべての構内請負工が比較的単純な作業のみを担当しているのではない。
というのは、上記のように、工程で手直し作業が可能であるかどうかなどの判断をするラインリーダーが構内請負工の中から選別されているからである。
しかも、これらのラインリーダーは、法的に設置が義務づけられている請負管理者ではなく、適材適所ベースで抜擢されていた。
事実、上記ABS量産ラインには、四つの自動車メーカー別に割り振られた正社員ラインリーダー4名に加え、おのおののラインのサブライン的な部分に構内請負工である10名のラインリーダー(日本人8名、日系ブラジル人2名)が存在していた。
これらのラインリーダーの主要な仕事は、段取り、材料投入、作業進捗のチェック、トラブル処理、設備の保守点検(簡単なトラブル処理を含む)ということであったから、ある程度以上の熟練を要する判断業務が含まれていると類推される。
当職場には、先述のように六つの請負業者(うち社のみが日系ブラジル人を供給)が入っているが、上記のラインリーダーは、“若くてやる気に溢れた”構内請負工を数多く供給している特定の業者に集中していた。
実際、これらのラインリーダーの最年長者は38歳であったが、ほとんどは、日本人であるか否かにかかわらず、20歳台後半であった。
構内請負会社に関する筆者の聞き取りによると、この業界には、上記のラインリーダー的な良質の人材を供給する業者や、それとは好対照な単純作業に徹するかたちの年配者のみを含んだ業者など、実にさまざまな業者が存在している。
このような事,情であるから、B社の場合のように、ラインリーダーをより集中的に輩出することのできる請負会社が存在していることは当然といえる。
さもなければ、仕事がまわらないはずである。
ラインリーダーを選抜する際には、請負業者が指名してくるケースとB社サイドが請負管理者などを通じて間接的に指名するケースとがあるという。
契約上の単価も高く、3カ月ほどで使えるラインリーダーになれるということであった。
一方、後者の場合、ラインでの作業を2年位経験することが普通のようであった。
加えて、各構内請負工にはスキルマップが作られているという。
したがって、かなりの適材が選抜されていると思われる。
ただし、量産職場全体を束ねる職長によると、日系ブラジル人の場合、適材であっても、ラインリーダーはやりたくないと言ってくる場合もあるということであった。
なお、ABSライン職場では、休日出勤や残業を要するケースも少なからず存在していた。
しかしながら、日本人の構内請負工は、以前パートだった人びとが多いこともあり、休日出勤や残業の要請には応えてくれないという。
そのため、需要量の変化に対応した柔軟な生産体制は、日系ブラジル人の構内請負工なしでは実現が不可能な状況であった。
ちなみに、当職場では、これまで減産を経験したことがないという。
したがって、人員削減自体は行なわれたことがない。
一方、人員増加の場合、事前に決められた年2回の時期のみならず、1カ月ベースで「来月から何人増やして欲しい」といったかたちのよりきめ細かい調整が行なわれていた。
最後に、ABSラインでの作業内容と技術革新の関係について言及しておきたい。
B社では、先述のように、15年前にABSセンサーを製造しはじめたというが、そのうちの13年間は、本体のヘッド部分がステンレス製の箱を用いてプレス成形されていた。
ところが、2年ほど前に、この部分が射出成形機によってプラスチックを被せる形のもの(プラスチックセンサー)が導入されたという。
そして調査当時、プラスチックセンサーがメインになっていた。
このような製品の変化は、ステンレス製の箱をカロエ.組み立てる板金工の需要を急減させたという。
さらに、このような製品切り換えに対応してそれまでの手動ハンダ付けラインが自動化されたため、比較的熟練を要していた工程が不要になったとのことであった。
このような非熟練化傾向は、現在ほぼ量産化の目処が立っている、ヘッド部分を半導体デバイス化した製品(アクティブセンサー)の導入により、さらに加速されるという。
事実、アクティブセンサーになると、現在比較的熟練を要するとされている巻線工程とプラスチック成形工程とが不要になる。
そうすると、ほとんどの工程が、少なくとも異常が発生しないかぎり、1週間ほどの教育訓練で間に合うようになってしまう。
したがって、当該量産職場には、現在にも増して構内請負工を受け入れる余地が増大すると考えられる。
2構内請負工需要の決定要因:計量分析の視点から本節では、前節で紹介した2社の構内請負工の活用状況から得られたインプリケーションの妥当性を、2000年11月に電機連合によって行なわれた「電機産業の雇用構造に関する(アンケート)調査」にもとづいて統計学的に検討する。
聞き取り調査による結果は、個別具体的な事例によって臨場感溢れる実態をつかむことができるものの、そこから得られた結果がどれほど一般,性をもつかに関しての知見を得ることがむずかしい。
そのため、この種の統計学的な分析が不可欠である。
詳細は電機連合『調査時報』323号(2001年5月)に譲るが、上記調査は、電機連合傘下の480組合支部に対する調査である。
この調査では、とくに大企業の場合、同一企業・グループ内の多数の組合支部が含まれている。
そのため、事業所調査的な色彩が濃い。
分析に際しては、実際に回答した314組合支部(回収率約65%)の中から、分析に必要な質問項目に十分に回答している196組合支部を対象とした。
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